[レポート] EC・モバイル・アナリティクス最前線〜国内外最新事例から学ぶこれからのマーケティング戦略〜(前半)
事業開発部の酒匂です。
今月に開催されました弊社の下記のセミナー内容についてレポートいたします。
【11/7 東京】「EC・モバイル・アナリティクス最前線〜国内外最新事例から学ぶこれからのマーケティング戦略〜」を開催します
書いてみたら長くなりましたので、前半と後半とに分けました。
今回は前半パートです。
国内外のマーケティング最新事例紹介(1/2)
プリズマティクス株式会社 アドバイザー 逸見光次郎
- いつもは国内の話を集中的にするが、海外の可能性というものも見ていきたいと思う。 そこで今回は、去年にイギリス、今年はドイツを見てきたので、全体の数字の統計をもとに、 そのあたりについて話をさせて頂ければと思う。
欧州の小売市場、欧州のEC市場
- ヨーロッパの小売市場については、なかなか知られていないと思うが、1位はシュバルツGというドイツの会社。 ビジネスとしてメインで行っているのは、リドル(Lidl)というディスカウントストア。 ちなみに小売市場の世界1位は、アメリカのウォルマート。
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ドイツはディスカウントストアがとても発達している。 日本でディスカウントストアというと、なかなかイメージがつかないと思う。昔だったらダイクマなど。
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ドイツのディスカウントストアは、店舗が意外と綺麗で、品揃えが良い。 ただ、例えばビールが100種類あるとか、そのようなことはなく、10種類ぐらいで、とにかく安い。
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ドイツの消費者は、シュバルツGのリドル(Lidl)、アルディのアルディ(Aldi)という二大ディスカウントストアと レーヴェGのレーヴェ(REWE)とかのスーパーを使い分けている。
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ヨーロッパの小売市場では、2位にカルフール(フランス)、3位にアルディ(ドイツ)、4位にテスコ(イギリス)となっている。
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ヨーロッパのEC市場では、1位がオットー(ドイツ)で、売上高が約71億ドル(日本円にして7500億ぐらい)。 その次にテスコ(イギリス)で、前年に比べて9%成長している。そして4位にザランド(ドイツ)で売上高が約32億ドル(日本円にして3500億ぐらい)で、 前年に比べて33%成長している。2008年創業の企業。5位は、ホームリテールGという名称になっているが、アルゴス(イギリス) 6位のジョンルイス(イギリス)は百貨店で総売上が148億ドルで20%がEC化している。
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世界のEC市場は、1位にアマゾン(アメリカ)、2位にJDcom(中国)。 3位にアップル(アメリカ)がECにカウントされているのは、ネット決済のサービスが含まれているため。4位にウォルマート。
イギリス:Argos(アルゴス)
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店舗の間口は、日本のセブンイレブンぐらい。
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1974年に創業しているので、40年ぐらいの企業。
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業態はカタログ通販だが、全英に845店舗(昨年の数字なので、それより増加している可能性あり)、売上高は、日本円にして約6,700億。
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面白いと思う仕組みとして、基本的にはネット注文、カタログ注文という、所謂カタログ通販だが、店舗での受取が8割担っていること。もちろん宅配受取もできる。
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事実かどうかは分からないが、全英の家庭の8割にアルゴスのカタログがあるらしい。
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食品以外の日用品などを中心に扱っている業態。
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顧客が自宅からでも確認できるように、全英の845店舗の在庫の見える化をしている。
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去年、セインズベリーが買収(イギリスのテスコに続く、日本のイオンみたいな会社)。
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デジタル化5ヵ年事業改革プランを策定、推進している。
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自社で店舗間配送、B2C配送の物流網を構築した。
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自宅注文時の先決済で、店舗で60秒以内にピックアップできる「ファストトラックコレクション(=受取)」サービスがある。また、18時迄の注文分は22時迄に自宅配送する「ファストトラックデリバリー」サービスもある。
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クリックアンドコレクトで、顧客がストレスなく商品を受け取れるかという点を重視している。(店鋪で60秒で商品を受け取れるかどうかが、ポイントになっているらしい)
イギリス:John Lewis(ジョンルイス)
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日本でいう銀座みたいなところ(オックスフォードストリート)に本店がある。
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日本の百貨店と全く違うのは、日本は消化仕入れ、つまりは在庫を預かっているだけなので、単品管理ができていない。欧米では自前仕入れ、販売をしていることが圧倒的に多い。
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単品管理ができており、ネットで全ての商品を購入できる。注文したら何日に届くかもわかる。注文した商品は、Customer Collectionsという受取カウンターで受け取る。実際に店鋪に行ったら、人が座って待っていた。
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創業1864年。売上高約6200億円。
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顧客の3分の2がネット/店舗併用。
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5年前は総売上高におけるネットは17%だったが、現在では倍増。
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クリスマスには必ずYoutube動画を配信するというキャンペーンを行なっている。2ヶ月で2000−2500万視聴がある。この動画を 観て、消費者はジョンルイスでのクリスマスギフトを考える。
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Retail Report2016で自分たちの商売活動を全て数値化している。ネットでPDFで見れる。
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「新しい顧客の買い物の目的」~ Retail Report2016より~
ジョンルイスが定義している4種類のお客
1. とにかくすぐに欲しい
→ 買い物体験に関係なく、即時スマホ購買
2. 私を楽しませて、インスパイアして
→ 家族や友人と楽しみながら買い物したい
3. 私にアドバイスして
→ ネット上にたくさん情報あり過ぎ。信頼出来るお店でいい選択がしたい
4.きまぐれに買い物する
→ 日用品を買う時は事前調査などして来ない(67%の顧客)
典型的な顧客、などは存在しない!
1人のお客がこの4パターンをぐるぐる繰り返していることを忘れないで。
顧客の情報を収集し、今はどういう買い物をしたいのかを分析している。
ドイツ:ZALANDO(ザランド)
- 2008年創業。特徴を一言で表すと、「ドイツのZOZOTOWN」。
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アパレルのブランドを契約して販売しているヨーロッパ最大手クラスのオンラインショップ。
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国ごとにドメインを持っており、各ドメインが物流センターとつながっていると思われる。
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とにかく返品保証に重点を置いている。顧客に「いつでも返品していいよ」と。
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33%前年比で売上高が伸びている。
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購入した商品の店頭受取が可能。自分は子供用の洋服を購入し、ミュンヘン駅周辺の子供洋品店で受け取った。このように競合店での受け取りが可能。「ZALANDOで頼んだ」と伝えると、商品を持ってきてくれてIDで照合して終了、というシステム。
最後に
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ドイツは数字の裏付けはないが、意外とECが発達していない。リドル(Lidl)はECを持っているが、アルディ(Aldi)はまだなかった。推測だが、ディスカウントが発達していると、値下げの圧力がものすごくて利益率が薄く、ECに特化するというところまで、まだいっていないのだと思われる。店頭での紙の販促物がものすごく多い。リドル(Lidl)は会員登録したら、お店に買いに来てくれ、というメールがすごく多い。
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ヨーロッパの傾向として、クリックアンドコレクトがすごく発達しているイギリス(日本に近い文化体系。住んでいるところ、働いているところ、買い物するところが近い)と、まだECがあまり進んでいないドイツ。
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技術的にはアメリカに学ぶところもあるが、色々なサービス面ではヨーロッパに学ぶところが多いと思う。
国内外のマーケティング最新事例紹介(2/2)
プリズマティクス株式会社 エンゲージメント・コマース・アドバイザー 奥谷孝司
- 普段はシリコンバレーを見学しに行くが、今回はシカゴで色々な店舗を見学してきた。業界経験が長くなってくると、シリコンバレーでやっていることは当たり前、という感覚になるが、中西部のシカゴの人たちって実際にどんな買い物をしているのかな?とか、本当にUber使っているのかな?とか、そのようなレベル感で見てみたいと思い、行ってきた。
これからの店舗 これからのCRM
BONOBOS
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キャッシャーがない店 & 紙袋がない店。店鋪にはサンプル商品しか置いてない。買って帰れるのはネクタイぐらい。あとは試着してくれ、というためのもの。
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試着した商品を店員がサイズなどを見てくれて、買うと決めたら、それをレジ持って行く。そうすると商品についているQRコードを店員が読み取ってiPadで操作を始めた。店員がネットでの買い物を代行しており、購入は店員が持っている端末で行うというもの。購入が完了するとお礼とアンケート、オーダーサマリーが記載されたメールが届く。商品は翌日には届いた。
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購入した後に手ぶらで帰る不思議な感覚。
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既製品を販売しているお店なので、自分が着るサイズが分かれば、もうお店に来る必要はなくなり、ネットで買えばいいと思った。
Fabletics
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レディースのスポーツウェア売ってる。コンセプトは、フェリシモが店鋪をやっているような感じ。
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ちょっと変わっているな、と思うお店だけど、普通に購入することは可能。ヨガなどの体験型イベントをやっていたりする。
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店鋪ではあまり値引きをしておらず、お得に購入したければ、月額49ドルを払って、毎月5日までに買うのがお得。
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自分が会員であることを店員に伝えると、店舗の店員がメールアドレスが記載された名刺をくれる。私から買ってくれたらディスカウントするよ、と。アメリカならではのやり方なのだろうか。
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試着する度に店員がデータを取っており、ウェブサイト上で試着した商品を確認することができる。日本だと万引きの抑制になるのでは?と思った。商品在庫の管理はiPhoneのスキャンで管理。
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ネット会員に登録すると、最初の1時間ぐらいは、プッシュメールが色々と送られてくる。
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店舗のバックヤードを見学させてもらったのだが、そこには複数のバーコードが貼られていて、バースデーディスカウントとか、通常は店長権限しかできないディスカウントをバーコードをスキャンすることで店員でもできるようになっているのが面白いと感じた。
Warby Parker
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検眼の予約は基本ネット(もちろん店舗でも可能)。店鋪にあるメガネは購入して持ち帰ることができず、家に送るから、と。何だかなあ、と感じたが、お店としてはすごく面白いと感じた。
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ここでは、メガネをかけている自分を楽しむ場所として上質な体験を提供している。お店のスタイルが、こういう風にどんどん進化してきているのを見て、この店はApple Storeに似ていると思った。店鋪では、商品がフェイスアウトされていて、真ん中に人が集まって、「お前、このメガネがいいよ」、「何がいいの?」、「こんな感じ」とか、「メガネをかけた姿をここで写真撮ったら?」と店員がやってくれる。完全にショールーム化を一生懸命してる。今後のイケてる店舗って、こういうのが出てくると思っている。(Showrooming化 → 店舗スタイルのApple Store化)
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店頭のIT化で、在庫がない店や、このようなメガネが店が出てくると、もはや接客っていらないんじゃないか?と思えてくるけど、実はそうではない。むしろ接客の高度化が行われていると思う。特にBONOBOSとか。要するに買う気がある人しか店に来ない。Warby Parkerの店員はメガネに詳しく、顧客とメガネについてちゃんと話せる。お客と向き合わざるを得なくなる。
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店頭に売るための在庫がないからレジもない。そのため現金も扱ってない、レジ締めもない。こういう動きが新しい接客の高度化をもたらすのではないかと思っている。
新しいCRM -圧倒的に差別するCRM-
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CRMについて考えた場合、アプリでつながったりしてお客のことを理解することって、どういうことだろうか?
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顧客関係マネジメントって、「買ってくれたらなにかあげるよ」っていう"差別"がある。しかし顧客は、買ってくれたからといって値引きだけが欲しい訳ではない。ただ、それしかソリューションがない。なので、圧倒的に差別するか、全く差別しないか。
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amazonは圧倒的に差別する方法。
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amazon booksは面白いと感じた。amazonが本屋をやるなんて非効率のはず。だけどやっている。そこでは、amazonの世界観をやっている。amazonのプライム会員になることの世界観を実現していると思っている。本の値段はプライム会員と通常会員とで異なる(前者の方が安く購入できる)。
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店舗での決済はpay with the Amazon App(amazon appでQRコードを読み取って行なう)。決済が完了すると店舗スタッフが本を袋に入れてくれる。
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普通の本屋は、今どういう本が売れているのかを知ったら、それを店頭に並べて売るだけ。だけど、消費者が本を買う目的は、読書という体験そのものを得るため。amazonで本の購入から読むという体験まで提供するのがカスタマージャーニーであるとamazonは考えている。Kindleによって誰がどの本を何ページまで読んだかが分かる。こういったことを背景として、amazon booksに行くと、店頭は限られたスペースであるが、プライム会員は圧倒的にいい思いができる。
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本を買う行為と消費者行動は、最終的に読書にまで行かないと、完結しないもの。どの本を買ったか、読んだか、という自分の好きな本や読書体験の良さというのがパーソナライズ化されている必要がある。
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オフラインでの買い物は、体験というものにどんどんシフトしている。美しい店舗体験だけでは、不十分だと思う。
新しいCRM -差別しないCRM-
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ロイヤルティーの高い顧客をどのようにリテンションしていくか?
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今度は日本の話になるが、今注目しているのは、いきなりステーキのアプリ。
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面白いのは、お肉を食べた顧客のロイヤリティーを自分のランキング・肉マイレージ数・カードランクなどで測っていること。アプリを持っている人にロイヤルティーがついていく。
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これは、肉好きに「閉じている」CRM。
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普通のCRMは「お金をくれたらなにかやる」というもの(=購入金額に応じて『差別する』戦略)。
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いきなりステーキの場合は、お肉を食べた面白さでやってしまっているというもの。食べるという体験に報酬を与えている(=金額に応じて差別しない戦略=『差別しない』CRM)。
例えば、1か月に間食を入れて100回ぐらい食事の回数があるとする。100回のうち、自分が何を食べたかは覚えていないけど、アプリが覚えている。これだけお肉を食べた(お金使った)というのは話として面白い
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Engagement Commerceにしていく必要がある
- ロイヤリティプログラム=Engagement Commerce
- ポイントプログラム=Discount Commerce
その他海外事例
walgreens
- 買い物と運動でCRM
- 自分が歩くとポイントがたまっていく。面白い。
- 利用クーポン設定機能
- 自分が欲しい商品のクーポンの写真を撮って、アプリに入れておくと値引きされる。この商品に関心があるというのがわかる。
- そのほかに写真を印刷できる機能がある
instacart
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店舗が綺麗
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商品もインスタ映えする綺麗なものがある(例:お茶など)
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店舗が楽しいと感じさせてくれるモノたち
- MOCHI ICE CREAM(雪見だいふくみたい)
- 1こずつピックアップして買うのとか面白い
- PBが可愛くてお洒落
- 紙ボトルのワインなど
- MOCHI ICE CREAM(雪見だいふくみたい)
* 店舗を楽しくする要素はデジタルだけじゃない
EATALY
- 店舗の二階が面白かった。MOZZRELLA LABなど。
Trader Joe's
- PB率の高い店。ちなみに岩塩、ドライフルーツがおすすめ。
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店舗に行くたびに、「ECやってるのか?」とあえて聞いているが、回答は「やってない」。ECがなくても小売として成り立つ。
Starbucks
Remote Order & Payの事例
最後に
- ITとマーケティングが融合しないと、新しい顧客体験は生まれない。
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ただし、顧客のエンゲージメントを高めるには、必ずもデジタル化は必要ではなくて、何が必要なのかを各社で検討する必要がある。
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ECを伸ばすよりも、最近では店舗に対してデジタル施策が色々とできるようになってきている。店舗の方がまだ小売市場として大きいので、そっちをやっていった方がいいと思う。
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IT起点でのビジネスモデル作りが小売業を進化させるただし、デジタルトランスフォーメーションの前にEngagement Commerce、ブランド作りが重要。
国内外におけるマーケティング戦略の今後
プリズマティクス株式会社 エンゲージメント・コマース・アドバイザー 奥谷孝司
プリズマティクス株式会社 アドバイザー 逸見光次郎
クラスメソッド株式会社 執行役員 マーケティング・テクノロジー担当 兼 プリズマティクス株式会社 CEO 濱野幸介
リアルの店舗って必要?
今回はこのテーマでディスカッションしていきたいと思う。
まずは、先程の「国内外のマーケティング最新事例紹介」の内容をもとに以下について。
EUにおける店頭受取の多さ
- 日本でも店頭受取りが増えてきたと思うが、先ほどの事例紹介で話題に出たドイツ、イギリスで見てみると、イギリスはEC化率が15%を超えていて、中国も僅差でトップだと思われる。
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EC化率が高いのは、物流が悪いというのが関連していると思う。
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店頭受取から見たEC化率という発想を持つべき。
情報過多時代における店頭接客
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情報が整っているけど、多すぎる。そのような時代における接客のあり方について。
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有名な店員、信頼できる店員からの情報発信。
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どういう店員さんから購入したいか。
または店頭での楽しい(買い物)体験⇒ 接客は高度化
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先ほどの事例紹介で、店頭でのヨガの体験イベントがあったが、買い物体験だけではなく、楽しい体験も店舗で提供できるのでは、と思う。
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これらを突き詰めていくと、いらない仕事(例えば、レジの前に並ぶとか)、そういったやりたくないことも出てくると思う。これは、お客さんもショップのスタッフもやりたくない。そうなると、それがだんだん排除されていって、レジもなくなり、先ほどの事例で話題に出た接客の高度化という話も出てくる。
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決済がシームレス化されていけば、レジはなくてもいいと思う。
- 中国とか決済が進んでいると思うが、日本では何故そうではないのだろうか?
- 現金に日本人は慣れていると思う。みんな使っていて、安全という理由などから。
- 一方で中国だと、店で紙幣を出すと嫌な顔をされることがある。そのようなこともあり、WeChat PayとかAlipayとか普及していっていると思う。
差別する/差別しないCRM
- 圧倒的に自分たちの世界の方がいいよ、というamazonの戦略(=差別する戦略)。
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フェアな扱いをされていることを可視化することに価値を見出しているいきなりステーキの戦略(=差別しない戦略)。
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いきなりステーキの戦略などを見ていると、やはりデジタルを使わないといけないなあ、と思う。
購買前(興味関心)や購買後(使用)の把握
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店舗でヨガの体験教室を開催している、それに参加した、など。
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店舗で商品の試着した、など。
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ファッション業界はどんどんEC化していると思うが、そうじゃないカウンターパートとしてすごく面白い。
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店舗での試着した商品のログ(試着したサイズなど)を取ることは、簡単なようで誰もやっていないこと。すごくいいことだと思う。
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蓄積されたデータの分析を行い、
- 試着されているけど、買われていないものは?
- 試着と買い物がどれぐらい一致しているか?
などがわかれば、先ほどの接客の高度化に関する話になるが、この商品をどういう人が購入するとかがわかってくれば、それの試着を勧めるとかもできる。商品にRFIDとかをつければ、買い物カゴ入れた、商品を手に取った、という段階がわかるようになる。
- 試着室に入ったら、持ち込んだ商品を試着したとカウントするという考え方もできる。誰が着たか、までわかれば意味があると思う。
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あとこれは、万引きを抑止するのに意味があると思う。
消耗品はネットで
- 消耗品については、普段使い慣れたショップで買う。ネットで買うのがいいという考え方が出てきていると思う。
2017 USにおけるオムニチャネル
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IR RESAERCHから発行されているOMNICHANNEL RETAIL AND FUTURE OF THE STORESで定められている5つの定義について。
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アメリカのオムニチャネルは、まだまだ色々な定義がある。amazonを意識したオムニチャネルだなと思う。
buy online, pick up in store
- 店頭受取サービスのこと。
ship from store
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店頭から商品を配送すること。
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過去の経験上、これをやろうと検討したことがあるが、やらなかった。やらなかった理由としては、
- 店頭でオペレーションの時間が取れない
- 配送、包装の品質が良くないと、後で確実にクレームになる
* SKU数が多いホームセンターでは、できると思う。
in-store ordering from online stock
- ネットの在庫を可視化できること。店舗に来た人を逃さないためのもの。
show store inventory online
- 店頭在庫を可視化すること。
digital innovations in stores
- 商品のQRコードを読み取る、BONOBOSのような世界のこと。
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この中に、ID統合(ID Integration)といったキーワードが無い。日本だとすぐそのような話になるのだが。
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ネットストアを先に組み立てがるから、ID連携に話がいってしまうのだと思う。
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ID連携したくても、各種データが紐付くための商品マスタが整備されていない。色々なポイントプログラムがあっても、個人情報という壁の中でフルスペックには活用できないなど、色々な理由があって統合できないケースがある。ヨーロッパのやり方と日本とでやり方が違うと思う。
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walgreensのアプリはID連携がシームレスで良かった。
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商品マスタが整備されていない、というのは致命的な状況では?
- JANコードで商品マスタを整備していくという方法もあるが、発注コードとか管理コードでも、それで管理できていれば、社内でわかるようになるので、お客さんに情報を露出できるようになる。
- これからは、商品情報管理という、当たり前のことをちゃんとする必要がある
- これができているから、海外の事例で紹介されている施策を行っていくことができる
- オムニチャネルのコンサルするときに、まず何をする必要があるかと聞かれたら、以下のように回答している。
- まずは、商品マスタの整備
- その次に、どこで買っても評価されるという社内評価制度の整備
- 商品画像の整備の方が重要ではない?
- 商品マスタが整備されていないと画像を整備できないので、画像は商品マスタの次でいいと思っている。
どんな店舗なら必要?
消耗品:GMS vs Dollar Shave Club, Amazon
- 消耗品の定期購買モデル。このようなものは、ネットでもいいのではないかと思う。
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消耗品は今後D2C化していくと思う。なので、例えばamazonがネットで儲けながら店舗やるとますます厳しくなってくるな、と思う。
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PBって、日本だと特殊な扱いになっているが、海外では当たり前のもの。海外展開含めて作るからものすごいロットで作っている。amazonはアメリカでPB No.1は電池とおしりふき。
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機能的価値を重視するものは、店舗で。
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GMS、ドラッグストア、ホームセンターなどが該当するが、消耗品は面倒臭い。作業は多く、利益幅は薄い。そこは本当にECで、できれば自社のECで買って欲しいものだと思う。消費者、お店どちらにとってもお互い楽だと思う。
衣料:百貨店/SC vs zozo, stichfix, bonobos, everlane
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stichfixの衣料の定期購買、everlaneがコストを透明化したことなど。
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アパレル業界はオムニチャネルの戦い方として面白いと思う。ネットだけでも売ることができるし、まだまだ店舗でもやれることがある。店舗には、そこで商品を着るという行為がある。店舗で1回着てサイズが分かれば、あとはネットで購入するから、それでいいわ、という考え方もある。
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衣料品は、食品ほどじゃないけど購買頻度がある程度あるので、自分でブランド作ってネットとリアルの融合とかさせたいとか思ってしまう。
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今の時代では、1個何千円もする食べ物を喜んで買うお客もいるし、一方で、1個100円の靴下も売っている。このような幅が商品に出て来ており、ネットとリアルが合わさってきている。
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さきほどBONOBOSの事例が紹介されたが、日本でもozieは、ワイシャツのECサイトと六本木にショールームを持っている。BONOBOSと同じように店舗で購入、または店頭でサンプルを見たら、次回からはネットで購入、という仕組み。
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今後も店舗はなくならないと思っている。店舗のベストプラクティスを他の業界に広める場合、アパレル業界っていいな、と思っている。
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接客の高度化って、古くて新しい発想。紳士服は、もともとオーダーメードだった。それをどんどん大衆化していって、既製品になり、接客を減らしていった。今後はデジタル武装した接客をできる人が増えれば良いと思う。
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もともと買う気があってモノを買う人、そうじゃない人。その差が出てくれば、接客はマーケティングのバッファ出てくる。IT導入がしやすい部分で、接客サポートがITによってできるようになる。
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なので、先ほども話題に出たが、商品のマスタ整備が必要。ただし、自分たちでものづくりをしていれば、商品情報については分かっているわけだから、マスタ整備を行う必要はない。
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ZOZOTOWNが強いのは、洋服の商品の情報を持っていること。
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店頭でECの売り上げをアシストする、という考え方が重要。
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Apple Storeは扱っている商品自体が高度化していっていることもあって、どの接客業よりも高度化していると思っている。店舗づくりや接客もベンチマークがあるのではないか。
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早くデジタルで武装して「その商品の在庫はオンラインにあリます」とか、「この商品は何処どこから取り寄せられますよ、お客様に届けますよ」とか、そういうことを言えるようになっていけば、良いと思う。
食品:スーパー, costco vs oisix, blue apron
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食品だったら、どのようなお店が必要か?
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確実にamazonがやっていること近づいていくお店。つまり、半分物流拠点になるということ。
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生鮮、新鮮なものをそこから届ける。これが儲かる、儲からないは別。全体やらないといけないこと。明らかに近いところから運んだ方がいいに決まっている。
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先ほどPBの話をしたが、海外は上位企業のシェア率が圧倒的に高い。イギリスだと日用品は上位5社で日用品の市場の7割を占めている。日本だと、セブン&アイとイオンを足しても1割に満たない。セブン&アイとイオン以外の規模の小さなスーパーがたくさんあるため、このようになっている。
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その他にマスタ化の問題。生鮮3品(肉、野菜、魚)がマスタ化されていない。大手スーパーだと独自の仕入れ市場を全国で持っている(実はそちらの方が鮮度が高くて安い)。このような市場構造になっているため、そのあたりを束ねていくネット企業が必要だと思う。商品の注文受付はネット企業で行い、実際に商品を調達、配送するのは別の企業で行うなど。
正しいEC化率?
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勝ち組企業のEC化率、店舗の増減数、既存店の昨年比を見た場合に、どれぐらいのバランスが取れていればいいのだろうか?ということを見定めることができるのではないかと思っている。
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EC化率が高いイギリスでも15%程度で、残りは店舗(既存ビジネス)で成り立っているので、バランスが大事。
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ネットでモノを買えることは良いことだが、そういう時の店舗の価値というものをわかっていないといけない。どういう店舗は残していかないといけないのか。残した店舗は何を提供するのか。
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例えば、バーンズアンドノーブルの店舗に行ったらスタバのコーヒーが無料になる特典があるが、ネット会員のモチベーションが上がらない。店舗に誘導したいのはわかるが、顧客本位じゃない。
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オムニチャネルが失敗したから店舗が減る、という話が真しやかに囁かれているけど、全く違うこと。EC化率と言った場合、あくまでも目安。業界平均に対して自社がどうしていくのか考える必要がある。
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EC化率ではなく、デジタル化率を問うべき。
- 店頭受取やっているか?
- ECやっているか?
- デジタルクーポンやっているか?
このあたりはデジタル化率を測る指標となる。
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商品やサービスが愛されることを考えて店作りをすべき。それを支援するためのデジタルの話として、店頭から出荷するという話もあるし、ネットで接客して購入した商品を店で受け取ったとか、店のタブレットでの経由販売とか、そういった話が出てくる。